緋布の人形

 緋布の作る創作衣装人形は、おもに江戸時代の風俗、文化をテーマに、さまざまな光景を人形の世界で表現しています。特に、緋布の生活・活動拠点である、長崎ゆかりの歴史上の人物をモチーフにしたものが多く、日本人形という文化とともに、また長崎の歴史や文化をも多くの方々に知っていただきたい、記憶に残していただきたいという思いを込め制作しております。
 人形自体の特徴としては、人形の頭に一本一本丁寧に植え付けたまつげや頭髪、そして緋布が長年にわたり培ってきた美容師としての技術(花嫁衣裳や和服の着付け、かつらの髪結い等)を活かした、優雅な結い髪や和装があげられます。人形に着せ付けられた着物や帯、帯締めなどの小物は、その下につけた襦袢にいたるまで、すべて実際の和服同様の仕立てと着付けがされており、またそれらに使用している布は主に江戸〜大正時代の非常に貴重な古布縮緬を用いています。
 頭・ボディー、着物から小物まで、一体の作品を制作するには半年以上もの時間がかかることも多いため、まだまだ作品の数は少ないのですが、今年67歳を迎えつつも、まだまだ多くの作品を残したいと日夜制作に励んでいる緋布を、どうぞ応援していただければと、そしてしっとりと、あでやかな人形の世界を楽しんでいただければと思います。