作品

聖奈ちゃん人形

一貫して和のテーマで作られている緋布人形のなかにあって、とても珍しい洋風のお人形「聖奈ちゃん人形」です。緋布制作のマスクには赤毛を植えつけ、でもお洋服にはやはり重厚な縮緬を。ドレスの裾には贅沢に縮緬のフリルを二重にあしらい、足にはブーツを…

手酌酒

春の桜に誘われて、花見に興じる赤い蹴出し(けだし)の小粋な若者を人形にしてみました。酒に酔ったか、桜に酔ったか・・・、ほろ酔い加減の若者の雰囲気が出ているでしょうか。 日本人がもっとも愛する花と言っても過言ではないであろう、桜の花。人形の世…

髪結い

坊やのお昼時を利用し、若き母親はお乳をふくませながら髪結いを頼み、そろそろ結い上がろうか、という場面を人形にしてみました。 自身(緋布)も半世紀近く髪結い(美容師)という仕事に没頭し続け、いよいよその職を引退するとき、「髪結いの人形が作りた…

蝶々夫人

長崎の南山手を舞台に描かれた、イタリアの作曲家・プッチーニによるオペラの主人公、「蝶々夫人」。 アメリカの海軍士官・ピンカートンと結婚をし、一時は幸せな日々を送る蝶々さんですが、任期を終えたピンカートンは祖国へと帰ってしまいます。 ピンカー…

夢桜

手刺しの桜刺繍が見事な緋縮緬の布を手にしたとき、衝撃的な情熱とともに「道成寺のお姫様にぴったり」というインスピレーションを感じ、イメージのままに桜尽くしでファンタジックにまとめてみた作品です。 髪はお姫様の代表的な髪型、「吹輪(ふきわ)」に…

長崎ぶらぶら節 愛八と車夫

三味線や長唄などの芸に優れ、また人情に厚いその人柄でも長崎丸山の名妓として多くの人に愛された愛八の作品です。 長崎史学者・古賀十二郎とともに長崎に伝わる古い民謡を探し歩き、晩年レコードに残された「長崎ぶらぶら節」や「浜節」等は、今でもしっか…

おさらい

舞妓は歌舞音曲に行儀見習いと、その日々は勉強に明け暮れる忙しいものです。そんな舞妓がお茶屋さん廻りの前に置き屋で「もう一度おさらいを…」といった風景を表現してみました。 髪は出立ての舞妓が結う「割れしのぶ」。前髪の花掛けと、緋縮緬の着物の肩…

よそおい

明治の美人画家・上村松園の名画「よそおい」をモチーフに制作した作品です。 江戸時代、武家の母親は気高い丸髷を結い、着物は優雅なお引きずり姿でした。娘の髪は、日本髪の中でも最も美しいと言われている島田髷に結い、着物は格調高い黒振袖、京友禅の大…

おねむ 1

髪を「先笄(さっこう)」に結った、まだうら若き母は、可愛い坊やの健やかな成長を祈りながら腹掛けを縫っています。そのかたわらの坊やはお母さんのおひざが恋しく、うとりうとりと…。そんな場面を作品にしてみました。(平成15年制作) *この人形は非売…

おねむ 2

江戸時代、豪商の女将はお引きずり姿であったと言います。ときには自らたすき姿でお椀の用意も。そんな忙しく働く母親の膝で、小さな坊やは眠さにむずかって…。そんな風景を人形にしてみました。(平成15年制作) *この人形は非売品です *写真をクリックす…

天草四郎時貞

いまなおその存在は多くの謎に包まれたままでありながら、その名を知らぬ人はいないであろうほどに歴史上あまりに有名である天草四郎、本名・益田四郎時貞の作品です。 出生についても諸説あり定かではありませんが、小西行長の遺臣・益田甚兵衛の子として現…

虹を見る

年の離れた弟を抱く美しい娘の、七色の虹を見る夏の一こまを表現した作品です。 娘の髪は「結綿(ゆいわた)」に結い、薄みどりのびらかんざしが涼感を添えます。着物は紗地に白桐模様で、帯には絽を使いました。 小さな坊やには、中に赤い前掛けを付けさせ…

夏舞妓

祇園祭の頃の、京舞妓の美しい立ち姿を人形にしてみました。 この季節の舞妓の髪型は「勝山(かつやま)」と呼ばれるもの。涼しげな銀の花かんざしや、翡翠の玉かんざしを差し、鹿の子の代わりにはピンクに銀ふりの布で涼感を演出しています。 着物の生地は…

坂本竜馬と丸山遊女

幕末の風雲児・坂本竜馬の作品です。長崎伊良林に日本初の商社・亀山社中を結成し、製茶貿易、海運業、倒幕にと活躍し、日本の近代化に大きな役割を果たした竜馬を知らぬ人はいない事でしょう。 この作品では、海援隊とともに金と暇さえあれば引田屋通いして…

絵踏

長崎と言えば出島、そしてその出島に行き来することを唯一認められていたのが長崎の花柳界、丸山の遊女たちでした。外国人との交流を多く持った、その美しく聡明な彼女らの名は「丸山遊女」として海外にまで伝えられたとも言います。 キリシタン狩りのための…

イネの往診

「シーボルトの妻タキと娘イネ」の作品でも紹介した、成長したイネの作品です。イネは、日本を追われたシーボルトが「残される妻子のことをくれぐれもよろしく」と願いを託した多くの弟子たちの中でも高弟であった二宮敬作に師事し、明治3年に東京築地で産…

じゃがたらお春

鎖国政策のもと、混血児追放により両親と引き裂かれ、ひとりじゃがたら(ジャガルタ)へと追放された「じゃがらたらお春」の作品です。 当時、海外に向けて唯一開かれた街であった長崎ではありましたが、外国人と日本人女性との関係を厳しく禁止し、さらには…

シーボルトの妻タキと娘イネ

鎖国時、出島のオランダ商館医として1823年に長崎に赴任したドイツ出身の医師シーボルトが見初め、熱愛の末に結婚したという妻・タキ(楠本滝)とその娘イネ(楠本稲)を題材にした作品です。 イネは父譲りの赤毛と、色白で、成長してからは彫りの深い美…